恋愛中!!! ㊤巻
「きっかけは、おねーちゃんを切なげに見つめる先輩でした。初めは…プッ…リコーダーのこととかあったから正直キモいを通り越して怖い人だと思ってました。でもコッソリ見てるうちに実は先輩が残念なくらい一途な人だって知って、その人の恋路が気になって、陰ながら応援してて…なのにいつの間にか自分が好きになっちゃってて…。ううん、違う。きっと初めて先輩を見た時から…おねーちゃんに気持ちを伝えたいのに伝えられなくて、その気持ちに気付いて欲しいのに全く気付いて貰えなくて心で泣いてる先輩を見た時から…あたし、先輩に恋に落ちてたんです。笑っちゃうかもしれませんが、実はあたし、先輩がおねーちゃんに片思いしてるだけ、現在進行形で先輩に片思いしてるんです。こう見えて実はあたしも一途だったりするんです」
「え…」
脅しでもなんでもない、今までの彼女からは考えられないような真っ直ぐな告白。
それを真正面から受けてしまった俺は、もちろん放心状態。
「えと…芽依子…サン?」
挟まれたままの頬をそのままに、俺は彼女をじっと見つめた。
「せーんぱい?」
しかしそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、真っ直ぐに俺を見つめながらクスッと笑みを零した彼女は、
「好きです」
まるで追い討ちをかけるかのように、この世で一番純粋な言葉を紡ぎ続けて。
「せーんぱい?」
「……っ!」
「大好きです。」
「っ!!」
瞬間、俺の中で燻っていた、小さくて、ザワザワしていた何かが、パチンと音を立てて……
弾けた。