氷姫に騎士を
血しぶきが舞う。
俺の血と、敵の血。
俺の剣は相手の懐に突き刺さり、その反動でまた傷口から血が流れている。
他の男達は、俺の動きに驚いたのか唖然としていた。
まぁ…“透視”は使いこなすまでに20年は必要になると言われているし、戦闘に関してはリスクがあまりにも高いため、実践的ではないとも言われているから当たり前だろう。
俺は、剣を相手の体から抜き取り、再び血しぶきを浴びた。
「覚えておけ。俺は、レグザ。
レグザ・フェン・イスラエル…リリア・ディ・スカーレット様の騎士だ!」
ジャリジャリ…ッと、残った三人の後ずさる音が聴こえる。
リーダー格と思われる男が合図をすると、深手を追った味方を置いて、一目散に逃げ出した。
逃げ足だけは一番早いということにだけ、尊敬できる。
「ぐっ……あ……っ」
「あ?」
俺が剣を刺した男の唸り声が聴こえる。
…まだ生きている。
「………しゃーね…」
このままにしておくのも気が引けるし…
応急処置でもして、雇い主の情報を聞き出そう。
俺は予備に持っていた医療品を取り出し、男の手当てをした。
「おれ、は…何も知らない、ぞ…」
睨みをかけられながらも、手当てを続ける。