氷姫に騎士を
「レグザ・フェン・イクサエル…ディクスの子…」
透き通る銀色の髪に青い瞳をもつ彼女は、一人しかいない専属騎士を帰し、一人。
昔を懐かしんでいる。
彼女が氷姫と呼ばれる前の専属騎士の名を、ふと口にしたくなった。
奇妙なものね、と彼女は思った。
まさか、ディクスの息子が専属騎士になるとは思ってもみなかったのだ。
レグザが専属騎士になると定めたのは、きっとディスクだろう。
…なにはともあれ、専属騎士なんてただ自分に力をくれる便利なヒト。
そう思って利用すれば、傷付かないわ。
下手に干渉しなければいい。
そうすればいい…のに、もっと彼の話を聞きたいと思う自分がいる。
やっぱり、ディクスの息子なのね。
クスっと笑う彼女の顔は人形のような心のない美しさではなく。
上品で愛らしく、ほんわかとした優しさに包まれるような感じがした。