氷姫に騎士を
湖から出た途端、4ヶ所から男達が現れた。
素早く、剣を構えた俺は、リリアを地面に座らせる。
勿論、下には俺が羽織っていたマントを敷いて。
キィィイィィィイン
金属のぶつかる音は、水面が揺れるほどの衝撃。
少し、手にその痺れがきた。
相手は相当な強さで俺に刃を向け、それは一瞬でも気を抜けば、即死を免れない程だ。
「……」
複数の殺気の中から、違う視線を感じた。
それは、いつものような冷たいものではなく、少し怯えている視線。
もしかして、―……
「どりゃぁぁあぁぁ!!!!!!」
右から月の光に反射して、また刃が降り注ぐ。
隙を与えず、俺を弱らせてからリリア姫を奪うつもりなんだろう。
そんなことはさせない。
「…必ず俺が護る」
一気に2つの剣を、まとめて薙ぎ払うと俺は少しの迷いもなく、正確に相手の懐へ刃を向ける。
刃向かうなら、殺すまで。
「…っち…」
自然と舌打ちが出る。
相手は、かすり傷程度の怪我で終わり、仕留めそこなっている。
もう少し、長引きそうだというところに腹がたつ。
そして、騎士らしからぬ言語に驚いたのか、リリア姫から少し声が漏れた。