絆~心に愛が咲く時~
 



渡り廊下を歩いて校舎から体育教官室へ向かう。目的場所が近付くにつれ足取りが重くなる。

放課後のせいか辺りは人通りが少なく静かだ。




「じゃ咲玖っ 京ちゃんにこってり絞られるんだぞ♪」


「その笑顔うざっ
とっとと部活に行け バカ桜」



満面の笑顔で手を振る幼なじみの【水無月 桜‐みなづき さくら‐】に悪態をつくあたし、【紺野 咲玖‐こんの さく‐】16歳。
まあ、あと1ヶ月で17歳になるけどね。

つまり 高校2年生に進級したばかり。
なのに、進級してそうそう呼び出しとかマジありえない。



「自業自得でしょ~?
2年になって初の体育をサボるからそうなんのよ
てか サボんならバレない所に行きなさいよね」


手をヒラヒラ振りながら反対側の校舎、第2校舎へと歩いていく桜。

ここ、東山高校は第1·第2·第3と校舎が分かれていて、第2校舎は下駄箱·職員室·各学年の教室と振り分けられている。

あたし達が今居るのは、第3校舎と第2校舎の間にある渡り廊下。
目的地の体育教官室は第3校舎直ぐ隣の左手側に小屋みたいなのがあり、そこが体育教官室として使われている。




「まさか、名前覚えられてるとは思わなかったし…」



ポツリとそんな独り言を零すと少し離れてた、体育教官室を見る。




逢いたい…
けど逢いたくない…
そんな複雑な気持ち…


 
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