絆~心に愛が咲く時~
 


ドアノブに手をかけようとするが直ぐに引っ込める。

その動作を何度も繰り返し、ドアを開けるのを躊躇う。


いっその事、このまま帰ってしまおうか


そんな考えが一瞬頭の中を過るがすぐに頭の隅へと追いやる。

たった扉を開けるか開けないかだけでウジウジとしている自分自身が滑稽に思えて、何やってんだろうっと自嘲するあたし。

いいや…帰ろっ…


そう思い来た道を戻るつもりで振り向こうとしたら背後から手が伸びてきて、

「鍵あいてるぞ 入らないのか?」


ガチャリとドアノブが回り、目の前のドアが開く。


「紺野?
おいっどうかしたか?」


「なっ!タイミング悪っ…」
「えっ?」


至近距離から聞き馴染みのある男の声が聞こえ、思わずあたしは固まり口に出して言ってまった。

「あっ…いや、何でもないです…」


左耳を押さえ、横に向きかけの体を前に戻し急いで高鳴る心臓を落ち着かせる。

―――――不可抗力… 心臓に悪いって…


 
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