お兄ちゃんです。
「こんな写真あったなんて知らなかった」

本当・・・なんだ。


「ゆうちゃんは赤ちゃんだったしね。覚えてないのも当然だよ」

「だからって・・」

「今は詳しいことは言えない。でもきっと話すから。」


あさひさんが真剣な表情になる。
やっぱりイケメンだ。
別にあたしはかわいくないのに、
なんでこの人はイケメンなんだろ。
ほんとにきょうだいなの?
やっぱり信じらんない。


「・・なんでここに来たんですか?」

「また一緒に暮らしたかったから。ずっとずっと、3人で暮らしたかったんだ。」


あさひさんがまた笑う。

詳しいことは言えないって言ったから、
きっとこれ以上聞いてもだめなんだろうな。
これ以上はやめておこう。



「・・・あたしはお兄ちゃん、なんて呼べません。」

「うん」

「だからあさひさんって呼びます」

「うん。」

「そ、それでもいいなら・・」

「うん」

「一応・・一応家族の一員として迎えます・・・」


「・・ゆうちゃん、」

「は、はい・・・」

「ありがとう!!」

「はい・・」

ふっと笑みがこぼれる。

本当に嬉しそうだ。あさひさん。


あたしは結局、あさひさんを受け入れることにした。
だけどお兄ちゃんだと言うことは
まだ認めない。
それにお兄ちゃんとは呼ばない。
と、言うか呼べない。



だけどもこれで、うちは3人家族になってしまった。

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