お兄ちゃんです。
「ただいま〜、あ。」
ドアを開けて一番にあさひさんが目にはいる。
思わずあ。と声がもれた。
あさひさんはふんわり笑っていた。
「おかえり、ゆうちゃん」
「あ、はい・・・」
そっけなく答えてそそくさと部屋に向かう。
その途中でカレーのいい匂いが鼻を掠めた。
「え・・・」
振り返ると鍋の中でカレーがぐつぐついっている。
さらにはそのカレーをあさひさんがかき混ぜている。
「ゆうちゃんみたいに上手じゃないけど、作ってみた」
「なんかすいません」
「謝んないでよ〜。俺、迷惑かけてるし・・。あ!これからは分担してやんない??」
「大丈夫です。あたし料理好きなんで」
なるべくあさひさんを見ないようにして話した。
なんか、見れない・・・。
あさひさんが息を吐くのが聞こえた。
「じゃあお願いしようかな。でも今日は作ってちゃったから、食べてくれる?」
「はい。いただきます」
「うん、ありがとう」
くるりと振り返り再び部屋に向かう。
今度は1度も振り返らずに部屋に向かった。