お兄ちゃんです。
3人家族になりました。
ふんわり笑顔の男性の正体は、
どうやらあたしのお兄ちゃんらしい・・・。
そうなるとこの笑顔はお母さん譲りか・・
ってちょい待ちぃぃいいいい!!!
突然ひょっこり現れた見ず知らずの男に
「お兄ちゃんです」
って言われて
「はいそうですか。」
なんて言えるかー!!
こんな怪しい男、
お兄ちゃんなんて認めない!!
それにあたしにお兄ちゃんがいたなんて聞いたことないし!!!
「ん〜!おいし〜い!ゆうちゃんの料理はおいしい!」
ぐつぐつと寄せられた具材たちが煮えている。
我ながら完璧な出来だ。ふっ。
「ゆうちゃんは料理上手なんだね〜」
お兄ちゃん・・・らしき男性、
あさひさん(23)が鍋を覗きこんでいる。
いつの間に「ゆうちゃん」なんて呼べる仲になったのだろうか。
あたしにそんな覚えはない。
「・・どうも」
ぶすっとした顔で答える。
本当はお母さんとあたしの2人で頂くものだったのに。
自称お兄ちゃん、あさひさん(23)はなんでいるんだろう。
もう意味わかんない。
「ゆうちゃんっ」
お母さんがあたしを呼んだ。
ちょっと怒ってる。
怒ってる理由はわかるけど、
謝りたくない。
だってこうなるのは当たり前だもん。
「大丈夫だよ、お母さん。しょうがないよ突然だし・・」
お母さん?
なんであんたがお母さんなんて
馴れ馴れしく呼んでるわけ?
もう限界!!!
突っついていた箸をばんっと
テーブルに叩きつける。
ぐつぐつしているすき焼きがちょっとこぼれた。
食器がきんっと音をたてた。