お兄ちゃんです。
「普通に頑張って!!って、渡せばいんでない??」
みちがにかっと笑う。
みちに心を読まれた気がした。
なんだか不思議な気持ち。
でもうれしい。嫌じゃない。
「そんなに気負わなくても軽く渡せばいいんだよ。ね」
軽く、か。
「うん。やっぱ、渡す!!渡すよ。」
幸子も聖子ちゃんもみちも、
笑いながら頷いてくれた。
グランドを見てみる。
バットをひたすら振っている瀬田くんが目にはいる。
瀬田くんを応援したい気持ちは嘘じゃない。
だから渡してもいいよね。
少しでも瀬田くんの力になりたい。
ご利益はあるかわかんないけど、気持ちはいっぱい込めたから大丈夫!!
ちゃんと、渡そう。
誰かに呼ばれたのか、瀬田くんが素振りをやめて振り向いた。
突然走りだし、ひょろ長い男の子に駆け寄る。
あの人、細いなぁ。
ん・・・・??どっかで見たことある。
すっとした目が笑っているのが見えた。
「あ、鮎川くん!?」
3人がびっくりした表情であたしをみた。
そんなに大声だったかなぁ。
ちょっと恥ずかしくなった。