お兄ちゃんです。

突然騒がしくなった。
はっと我に返るとぞろぞろと教室から人が出てきていた。

ホームルーム終わったんだ!!
瀬田くん探さなきゃ!!


鮎川くんと瀬田くんが大きなエナメルバックを下げながら、教室から出てきた。
追いかけようとした途端、足がもつれる。
とっさに目をぎゅっと閉じる。

「いっ!!」

どん、

痛く・・・ない??あれ??

ゆっくり目を開けると、すぐ近くに鮎川くんの顔があった。

「大丈夫ですか??」

「あ、鮎川くん!!」

「あれ??ゆうちゃんだ」


どうやらあたしはこけて、鮎川くんに助けられたらしい。
両手がしっかり鮎川くんを掴んでいた。
すばやく離れる。

「ご、ごめんなさいっ。」

「いや、大丈夫っすよ。ゆうちゃん軽いから」

にやっと鮎川くんが笑う。
ますます恥ずかしくなってきた。

「高原、大丈夫か??」

横からひょっこり瀬田くんが現れる。

「あ!!瀬田くん!!あのねっ、話があるんだけどいい??あ、すぐ終わるから!!」

「お、おう。いいけど」

「じゃあ、俺さき行ってる。あっきー、遅れんなよ。ゆうちゃん、ばいばい」

鮎川くんがひらひらと手を振りながら行ってしまった。
気がつくと、廊下にはあたしと瀬田くんだけになっていた。


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