お兄ちゃんです。

「ついた!!」

みちが両手をぐんっと上に挙げ、大きく伸びをした。

球場からはブラスバンドの演奏と、応援歌を叫ぶ声が響いている。
あたしたちの周りにもたくさんの人が行き来していた。


「もう始まっちゃったかな??」

「いや、1試合目じゃない??まだやってないよっ」

るんるんしながらみちが言った。
いつもより生き生きしてみえる。

突然、みちがキョロキョロし始める。
そしてなにかを見つけたのか「あ!」と声をあげた。
手をぐいっとひっぱられた。
とたんによろける。

「うわっなに!?」

「あっち行こう!!みんないる」

「みんなって??」

顔を上げると、遠くの方に野球部の集団が見えた。

「え!!行っていいのかな・・・」

「大丈夫!!つか、来いって言われたし!!」

「え??」


ぐいぐいひっぱられるがままに走った。

近づけば近づくほど不安になる。
野球部の集団の中には監督さんらしき、大きな男の人もいる。
行って怒られたら、嫌だよ。
みんなにも迷惑かけちゃうし。

大丈夫なのかな〜。


< 71 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop