お兄ちゃんです。
「ついた!!」
みちが両手をぐんっと上に挙げ、大きく伸びをした。
球場からはブラスバンドの演奏と、応援歌を叫ぶ声が響いている。
あたしたちの周りにもたくさんの人が行き来していた。
「もう始まっちゃったかな??」
「いや、1試合目じゃない??まだやってないよっ」
るんるんしながらみちが言った。
いつもより生き生きしてみえる。
突然、みちがキョロキョロし始める。
そしてなにかを見つけたのか「あ!」と声をあげた。
手をぐいっとひっぱられた。
とたんによろける。
「うわっなに!?」
「あっち行こう!!みんないる」
「みんなって??」
顔を上げると、遠くの方に野球部の集団が見えた。
「え!!行っていいのかな・・・」
「大丈夫!!つか、来いって言われたし!!」
「え??」
ぐいぐいひっぱられるがままに走った。
近づけば近づくほど不安になる。
野球部の集団の中には監督さんらしき、大きな男の人もいる。
行って怒られたら、嫌だよ。
みんなにも迷惑かけちゃうし。
大丈夫なのかな〜。