お兄ちゃんです。
「もし・・・」
ふと、目が合わさる。
真っ直ぐに向けられる視線をあたしはきちんと受けとめた。
「・・今日もしホームラン打ったら、俺と付き合ってほしい。」
「え!?」
「高原のために打つ。絶対に、」
「え、あたし・・・!?」
びっくりした。
でも瀬田くんは真剣だ。
突然心臓が忙しく動き始めた。
体が緊張してかちこちになる。
なんて答えたらいいんだろう。
だって、あたし・・・
「瀬田ぁ!!アップ始めるってー!!」
遠くから葉月くんの声がした。
瀬田くんが「やべっ」と慌てる。
「ごめん!!アップ行かなきゃ///」
「あ、うん!!」
にこっと笑って瀬田くんが走り出した。
なかなか落ち着かない心臓の辺りに手を当ててみる。
くるっと瀬田くんが振り向く。
「絶対、打つからな!!」
「う、うん!!ちゃんと見てるね!!」
「返事、考えといて」
瀬田くんが口元に手をあてて、小声で言った。
あたしは大きく頷く。
きらきらっと瀬田くんの笑顔が輝いた。
今までで一番きらきらしていた。