お兄ちゃんです。

野球部はぞろぞろと球場の中に入っていった。
瀬田くんも荷物をたくさん肩に掛けながら、入っていった。


まもなく試合が始まるらしい。


その姿を見送ったあと、
あたしとみちはチケットを買い、スタンドに急いだ。

チケット売り場で並んでいた時、泥まみれになった球児たちが涙している姿をみた。
彼らはお互いに肩をたたき合いながら泣いていた。

なせが他人事に思えなくて、胸がちくっとした。
みちも切ない表情をしていた。


チケットを手にして
階段を登り、スタンドに出る。
ぱあ、と視界が広がった。
土と太陽とかすかに汗の匂いが胸に染み込んでくる。

スタンドでは数人の野球部員と2人の女の子がばたばたと忙しく走っていた。
保護者の方々もなにやら準備をしている。
ブラスバンド部も楽器の調整をしている。


その中に入って行けず、あたしとみちは入り口で立ち尽くしていた。


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