スノー*フェイク 【番外編】
赤城という生徒が気になった理由は、あの女に重なること以外にもあった。
あいつは、俺に媚を売らない。
普通だろ!なんて思うかもしれないが、現状はどうだ。
「か、蕪城先生!」
「ああお美しいっ…!」
「今日のお昼ご飯を…」
「蕪城先生ーっ!」
「こちらを向いてください!」
……こう、だ。
寧ろ、これが日常的になっている自分が怖い。
ただ確かなのは、俺の周りにはあの手の生徒が多いということだ。
そんな中で赤城は、俺に見向きもしなかった。
「(…つーか、俺、嫌われてねぇか?)」
敵対心を剥き出しにしたネコは、懐かせてやりたくなるもんだろ?
それから俺は、無意識の内に赤城を目で追うようになっていた。
…ストーカーではない、断じて。
だから俺が今、校舎を出た赤城の後ろを歩いているのも深い意味はない。
………き、気になっただけだ。
赤城が本当に、あの女じゃないのかって。
たとえ仮に……有り得ないが仮に、アルバイトをしていたとしても、本人かどうかなんて確かめる術はなかった。
だけど。