スノー*フェイク 【番外編】
「まだ先週のことか。お前に俺のことがバレて、共謀を始めたのは」
先週とは思えないくらい、濃密すぎる時間が経った。
……て、ていうか…っ!
『あたしが偽お嬢様だってこと、そんなに前から知ってたんですか!?』
声を張り上げると、蕪城先生は唇を歪めて笑った。
「まぁな。最初の出会いを含むと、ざっと2年半のビハインドか?」
…くらくらした。
なにそれ。
ずるい…。
ずるすぎる。
あたしは、こんなに、頑張って隠してるつもりだったのに。
がくっと項垂れたあたしの頭をわしゃわしゃと撫でて、蕪城先生は少しトーンを落とした。
「……いや、でも、悪かった。お前に俺のことがバレた時は、ほんとどうかしてた。あんなことして、ごめんな…」
…えっと…かくいうあたしも、先生を蹴ってしまいましたが…。
苦笑を零すと、蕪城先生にぎゅっと抱きしめられた。
ふんわりと香水のように馨るタバコの匂いが、あたしにも移ってくる気がした。
『だから、もう気にしてませんってばー』
きっと前の学校の生徒とあたしを重ねて、パニックになってたんだと思う。
先生の中では、トラウマになってたのかもしれない。
……バレたのがあたしで良かったですね、先生。