スノー*フェイク 【番外編】
蕪城先生と目が合う。
吸い込まれそうなくらい、綺麗な瞳だ。
…本当に蛇みたい。
だってあたし、今、動けないよ。
「………お前が自分を偽ってるのは、俺みたいに利己的な理由じゃなかった」
紫煙を吐き出すようにゆっくりと、先生は言った。
『いや、あたしだって自分がここにいるために…』
「最初……俺はただ、教師と生徒の壁を作りたかっただけなんだ。こんな喋り方じゃ、くだけた関係になっちまうだろ?…まぁ結局、バレて脅されて散々だったが。自業自得だよな、ほんと」
自嘲を零す先生が見ていられずつい伸ばした手は、身体に触れる前に絡め取られた。
先生とあたしの指が、いわゆる恋人繋ぎをしている。
「……この学校では、校長に言われた。お嬢様学校らしからぬ言動は慎めと。伊達眼鏡は、少しでも真面目に見えるように掛けた。それで、俺は………っ!!」
そこで言葉は切れた。
…いや、切ったのはあたしだけど。
先生のお望み通り―――舌を絡めたキスで、口を塞いで。