スノー*フェイク 【番外編】
あたしの思いを知ってか知らずか、……いや絶対に知ってる美葛先生は、耳ばかり執拗に攻撃してくる。
くちゅっ…
耳の内側に、ねっとりと舌が這わされた。
『ん、ふぁ、あっ…!』
「なァ……せっかくだから、最後までやるか?」
色気を含んだ声で、美葛先生はそっと耳打ちした。
びくりと、あたしの肢体が跳ねる。
『な、なに、言って…!?ふ、普通は!!そういうの、卒業してからな…って美葛先生の方が言うものでしょっ…!?』
じだばたともがくあたしを舐めるような視線で犯した後、先生は至極怠そうな声を出した。
「あー?そんな少女マンガ的な展開を俺に期待すんな。残念だったな、ストイックな彼氏じゃなくて」
か、彼氏って言った!
なんだか付き合ってる実感がなかったあたしに、この言葉は予想以上に効いてしまった。
押し黙るあたしを見て、美葛先生はいやらしく舌なめずりをした。
「………なんだ、お前も乗り気かよ」
クッ、と笑いを零した先生の首に、そっと腕を回す。
さっきはキスで破裂しそうになったくせに、不思議と心臓は落ち着いていた。
さらした肌に触れる冷気が、冬はまだこれからだとあたしに教える。
のけ反るようにして仰ぎ見た窓の外では、寒さを誇示するように雪が降っていた。
―――身体はこんなに、熱いのにね。