甘味な罠に捕らわれて【BL】
放課後。
「圭祐、早く帰ろうぜ…ってあれ?」
終礼が終わるとすぐに俺のところに現れる圭祐がいない。
(なんだよ…帰りに喫茶店寄ろうって言ったの自分のくせに)
まぁ、圭祐が俺のことおいて帰るはずはずはないから、何か用事が出来たんだろうと勝手に解釈して、俺は自分の席に座りなおした。
(課題でもするか…)
ばさり、とノートを机の上に盛大に広げて、カバンからペンケースを取り出す。
(えーと、まずは数Ⅰから…)
俺が大真面目に宿題に取り掛かろうとしていると、
ぴんぽんぱんぽーん
なんて間の抜けた音が校内に響いた。
『あーあーマイクのテスト中ー』
「!?」
教室の黒板の上にあるスピーカーから聞こえたのは間違いなく圭祐の声だった。
(な…何やってんだアイツ!?)