アイドルな彼との恋語
No.20 わたしのきもち
全く、考えるのは本当に苦手だ。
苦手というより私は、考えるのが面倒だった。
昔から。
―「お前は俺の〝音楽〟を変えた」―
―「自分をしっかり主張できる川口に憧れた」―
二人はそんなことを言っていたけれど。
私自身、何もしてないんだよ本当は。
考えるのが面倒だっただけなの。
考えるのが嫌だっただけなの。
平凡に生活してこれたのだって、何も考えなかったから。
平凡を望んでたわけじゃなくて、それは私が考えることをしなかったただの結果。
時代劇にはまったのだって、何かに夢中になっていれば、それ以外のことは考えなくて済む。
ただ、それだけ。
それほどまでに私は避けていた。
〝考える〟ということを。
だって、〝考える〟ってことは〝悩む〟ということでしょう。
そんなの、とっても、しんどいじゃない――。