アイドルな彼との恋語
「冗談だよ冗談っ」
葦名に引っ張られながら食堂へとむかう。
その間、葦名が俺に学食の利点やら何やらを語っていたが、頭の中で菘に会うスケジュールを立てていた俺の耳には全く入ってこなかった。
「――でね!まだ来て3週間くらいなのにその人の作る定食がみーんな人気商品になっちゃってさ!ホント美味しいんだよ!肉じゃがとかオススメだね!林もたまには」
「わかったわかった。いいからさっさと食券買えよ」
「えっ?うちの食堂、食券なんてないよ?」
は?
食券がない食堂なんてあるかよ?
「うちの食堂は毎日メニューが変わるからね。カウンターの隣の黒板に今日のメニューが書いてあるんだ。だからそれ見てみんな注文するわけ」
ただの学食にそこまで力入れなくてもいいんじゃねーのって思うのは俺だけか?
何から何まで抜け目ねーよなこの学校。
名門って呼ばれることだけはあるってことか。