アイドルな彼との恋語
「な…!?何す…!!」
「じゃあまたな。…菘」
トクン。
リンは最後の最後で私の名前を呼び、笑って改札口へ消えていった。
……不覚にもときめいてしまった。
何てズルいヤツ…。
て!!
いやいやいや!!
何してんだ自分!!
決めたじゃないか。
きれいさっぱり忘れるって。
名前呼ばれたくらいで、笑顔みたくらいで何をときめいてるんだ。
恋愛なんか興味ないクセに。
そもそも相手は人気アイドルなんだよ?
「また」なんてあるはずがないんだから。
忘れよう。
忘れるんだ。
この二日間はなかったことにして。
私は、普通の日常に戻らなくちゃ。