アイドルな彼との恋語
「菘さん…?どうかしました?そんな悲しい顔して…」
え?
悲しい顔?
そんなんしてないわよ。
これは怒ってる顔なのよ桜ちゃん。
「ねぇ、太陽くん、桜ちゃん。お言葉に甘えてホテルまで案内してもらってもいいかな?」
「それは構わないッスけど。いいんですか?友達と会わなくて」
「あ、いいのいいの。たった今ケンカしたから」
「ええっ!?じゃあ仲直りしないとダメじゃないですか菘さん!!」
「いいのよ。私が悪いんじゃないし」
「でも…!!」
「ありがとね、桜ちゃん。心配してくれて。でも大丈夫だから」
心配する二人を宥めながら私はコンサート会場を後にした。
少しだけ痛んだ胸に気づかないフリをして。