アイドルな彼との恋語
コイツ…今、俺の音楽を全否定したようなもんだぞ。
言ってる内容は料理だが、料理を音楽に置き換えるとそうなる。
〝完璧〟なものなどないと。
俺はずっと、完璧な音楽を追い求めてきた。
誰にでも認めてもらえる、そんな音楽を。
でもコイツは、そんなものは出来っこないと言う。
俺のあのクソ親父のように。
「まぁだからこそ、みんな努力するんだと思うよ私は。完璧なものはないけれど、でも少しでもそれに近づけるように」
「じゃあ…もし、完璧な料理をするやつがいたらどうすんだ?」
「え?そんな人いるわけないじゃない」
「もしっつってんだろ」
「もし…ねぇ。私だったら…そうだなぁ。うーん…」
少しの間頭を下げ考えた後、菘は自分の答えを俺に告げた。