君を想うとⅢ~True love~


「高宮さん、コレ桐谷くんに持って行ってもらってもいいかなぁ。」



定時すぎの広報部のオフィスで、田中さんは申し訳なさそうに私に資料を差し出した。


それはSGスイミングスクールの選手コースに在籍する生徒さんたちの細かな採寸。




「さっき早坂オーナーからFAXが届いてね。至急桐谷くんに渡してくれって電話がきたんだ。
僕はもう帰らなきゃいけないから…高宮さんから渡してもらっても平気かな?」







――チャンス到来!!!







やっと桐谷慎に話しかけるキッカケができた。





「わかりました。
桐谷部長には私から間違いなくお渡しするように致します。」




そう言って田中さんの資料を受けとると、



「桐谷くんは広報部の地下資料室にいるから。
二人でゆっくり話しておいで??」



そう言って、田中さんはニッコリと微笑んだ。






< 122 / 569 >

この作品をシェア

pagetop