君を想うとⅢ~True love~
「ありがとう。
でももう定時でしょ?高宮は早く上がりなよ。」



桐谷慎は私の手元から資料を奪うと。
何もなかったかのような涼しい顔をして、また資料棚へとスタスタと戻っていく。





何事もなかったかのように淡々と資料を見つめる桐谷慎。

今度こそちゃんと話ができるんじゃないかと期待をした私。




その間にある温度差はまるで炎と氷のようで。
その真実に気づいた私は愕然としてしまう。





あんなにも愛し合った時間は幻だったのかな。
桐谷慎は切り替えの早い人だから。私のコトなんてもう忘れちゃったのかな。





そう思ったら不安になって。
泣きそうになりながら彼の瞳を見つめていると…







バチンっ!!!!!!








えぇっ!!??








資料室は一瞬の内に真っ暗闇に包まれてしまった。
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