君を想うとⅢ~True love~
ピッ、ピッ、ピッ
桐谷慎のケータイから響くクリック音。
ケータイから発せられる薄明かりから見える彼の顔は、こんな非常時にもかかわらず憎たらしいくらいにいつも通りで。
ムカつくくらいに冷静だった。
♪Trururu…Trururu…Trururu…♪
そして彼のケータイから何回かの呼び出し音が聞こえた後。
『ハイ。』
「あ、藤堂??」
ケータイの向こうからは、しゅーちゃんの声が聞こえてきた。
「今、資料室なんだけどさ?一瞬にして電気がバチッと消えちゃったんだけど、何が起こった?
今どういう状況?」
『あ、資料室もですか。
広報部も他の部も、社内全体が一気に停電してるみたいっす。
窓から見る限りだと、ウチの会社だけが停電してますね。』
「理由は?」
『う~ん、まだよくわかりません。
何らかの動きがあれば連絡しましょうか?』
「うん、頼む。」