君を想うとⅢ~True love~
ケータイの向こうから聞こえる音は半分パニック状態でざわつく外野と、これまた変に冷静なしゅーちゃんの声。





しゅーちゃんは……変わった。





昔は。
こんな時には一番パニクってオロオロして、大騒ぎするタイプだったのに……




『こっちは俺と田中部長がなんとかしますから、安心して下さい。』


「うん、頼む。
帰れそうなヤツがいたらそのまま帰してやっていいから。」


『はい、了解しました。』







ケータイの奥から聞こえるしゅーちゃんの声は、落ち着いていて頼もしかった。






人って…変わるイキモノなんだ…。
ううん、進化していくイキモノって言った方がいいのかな。




昨日よりも今日
今日よりも明日




目には見えないけれど、少しずつ、少しずつ、人は逞しく成長していく。




私の知っているしゅーちゃんとは違って、電話の向こうにいるしゅーちゃんは全く違う人みたいで寂しいけれど……。





人はそうやって…

どんどん変わって
進化して
成長して

未来に進んで行くイキモノなんだろう。







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