君を想うとⅢ~True love~

は~…。
なにやってんだ、俺は。

何度、堂々巡りをすれば気がすむんだろう。





今度こそ伊織を諦めるつもりで海外事業部への移動を決めたんじゃねぇの?


アイツの幸せと笑顔を心の底から喜んでやれるような。
そんな大きな男になる為に海外行きを決めたんじゃなかったか?







恨むよ、部長。

アンタがあんなこと言わなけりゃ、俺は伊織を諦めたフリが出来たのに。


俺の心の真実に気づかないままサンフランシスコに行けたのに。








「クソッ…!!!!!」







苦悩の表情と共にカベをガンと叩くと。

伊織が目覚めたらしく、部長と何かを話している声がした。








穏やかだった二人の声がどんどん大きくなってきて。

伊織の声はいつしか涙声になっていた。





< 14 / 569 >

この作品をシェア

pagetop