君を想うとⅢ~True love~
桐谷慎の冷たくて、優しくて温かい声が私の心をグリンとえぐる。
は~ぁ、桐谷慎。
アンタは優しいけど厳しい人だね。
あなたは私の全てを理解して包んでくれるけど…私を決して甘やかせてはくれないんだね。
「桐谷慎。」
「…ん?」
「私…つまんない女の子になっちゃった?」
そう訊ねると桐谷慎は
「…少しね。」
と言って笑った。
「俺は自分の生き方すら自分で決められないオンナに興味はないよ。」
そう言って、桐谷慎はタバコを口に軽く含む。
そしてフゥーと煙を吐き出すと
「高宮。」
「…なに?」
「今回は…俺は逃げ道は作ってやらないからな。」
キッパリとした声で。
桐谷慎は私に向かってそう言い切った。