君を想うとⅢ~True love~
「お互い様だろーが。お前だってしつこくしつこく亜美を好きだったんだろ?」
フンッと鼻息荒く悪態をつくと
「あはは!!確かに!!」
祐吾はケラケラと楽しそうに笑う。
後ろに流れるサンボーンの甘くて切ないSAXの音色。
楽しそうに笑う男女の声に、カンッと高いビリヤードの音。
何も喋らず、何も語らず
しばらくボケッとしながらチビチビとビールを飲んでいると祐吾は何かを思い出したかのようにリキュール棚を開けて。
なにやら楽しそうにカクテルを作り始めた。
透明のロングカクテル。
上にミントをあしらったそのカクテルからは、なんだか甘ったるい香りが立ちこめていた。
「ディタソーダ。
伊織ちゃん、好きだっただろ??」
そう言って、俺の前にスッとカクテルを差し出す祐吾。
「なんで突然ディタソーダ??」
疑問を素直にぶつけると
「先勝祈願だよ。」
そう言って祐吾は笑う。
「ま、勝ち目はないだろうけどお前は言い出したら聞かない性格だしな。
やるだけやって玉砕してこい。」
「うるせーよ。
俺は負けねぇっつってるだろ??」