君を想うとⅢ~True love~
いや…苦しいは苦しかったんだよ?
“なんでここで!!??”ってイラついたし、あたしの知らない二人の思い出話まで聞かされて。
挙げ句の果てには“あたしのコトは気にするな”と天然伊織の背中まで押してあげて。
“あー……。あたしって、とことん損な性分なんだなあ…”とか自分を心の底から呪いましたよ!!!!
苦しくてツラくて。
普通なら逃げ出したい状況のハズのシチュエーション。
無神経な2人にカーッと怒りを燃やしてそれをぶつけても誰も怒らない状況の中。
あたしは手足の先からサアッと血の気が引いてきて。
いつも以上にどんどんどんどん冷静になっていく自分自身を感じてた。
だって…気づいてしまったから。
目の前にいるこの人は、ヒーローなんかじゃない。
不器用で可哀想なただの男の人なんだ……って……気づいてしまった。