君を想うとⅢ~True love~
「だってギョーザにはビールでしょ?」
と笑うと
「うん、確かに。」
桐谷慎はアハハと笑って深く頷く。
久しぶり…だな。
こんな風に道端で会うのって。
私が地元の支社から東京に出てきたばっかりの頃。
悪魔のイタズラとしてしか思えない頻度で、桐谷慎には遭遇してた。
通勤中に通勤後。
何かと言えば登場する桐谷慎にあの頃はイラついてばかりいたのに…人間って不思議だ。
今はこの人に会えるのが死ぬほど嬉しい。
あんなに嫌いだった人が、今は世界で一番大好きな人だなんて。
……本当……
人生ってわからないことばっかりだ。
自分の心境の変化に思わず笑いがこぼれる。
“フフッ”と笑うと桐谷慎は
「何、突然。」
不可解そうに私の顔を覗きこむ。
「出会った頃は桐谷慎のコト大っ嫌いだったなーって思って。」
ニッコリ笑ってそう言うと
「言うねぇ。
俺は出会った時から高宮に夢中だったっていうのに。」
桐谷慎はフッと笑って私のオデコをツーンとつつく。