君を想うとⅢ~True love~


「答えは3日後。藤堂と同じ日に。」




そう言ってニッコリ笑うと





「じゃ、ね。
うっかり押し倒したくなっちゃうと困るから…悪いけどここでバイバイね?」








桐谷慎はそう言って、私の頭をポンポンと叩く。








「夜道は危ないからな。
気をつけて買いに行けよ??」


「うん…、ありがとう。」









そうやって桐谷慎と私は踵を返して反対方向に向かって歩いていく。








コツコツ、コツコツ







1歩進む度に広がっていく彼との距離。



確かに繋がっていたはずの糸がいとも簡単にほどけていく。



終焉に向けて鳴り響く警報音。






あの時の私は、目の前のコトをこなすことに精一杯で。







あなたの見せた小さな異変に気づきさえしなかった。









“3日後、午前12時”











桐谷慎。


もっと私が敏感だったなら……って。


あの時、ガマンせずに気持ちを打ち明けていたら……って。


思いたくないのに何度も何度も思ってしまう。










「理央~!!ビール買ってきたよー!!」


「よしっ!!今日は飲むわよー!!」


「オーーッ!!!」









その日見た桐谷慎の笑顔と後ろ姿…。
きっと私は一生忘れることはないと思う。







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