君を想うとⅢ~True love~
「あのなぁ!!」
「…んっ?」
「誰のセイだと思ってんの。」
なんだか余裕をぶちかましてるアイツの表情にムカついて。
大人げのない俺がアイツのオデコをピンッと弾くと
「いたっ!!!」
伊織は恨めしい目をしながら俺を見つめる。
「ったく。無自覚にオトナを煽るんじゃねーよ!!」
こっちはなぁ!!
怖い気持ちと期待する気持ちでいっぱいいっぱいだっつーの!!!
ピンッ
ピンッ
伊織のオデコに有無を言わさず放つデコピン。
「イタイ!!イタイってば、しゅーちゃん~!!!」
伊織は堪らず逃げようとするけど、俺は逃がしてなんてやらない。
アイツの腕をキュッと掴んで。
店の中で井戸端会議に夢中になってる広報部のヤツラの目を盗んで、トイレの前までグイグイと引っ張って。
ヤツラから見えない死角まで伊織を連れていくと、俺は気持ちの限りを込めてアイツをきつくきつく抱きしめた。