君を想うとⅢ~True love~
部長の愛ってなんなんですか?
伊織……
あの夏の日に、更衣室で泣きじゃくるオマエに恋した日から
俺の心はオマエに囚われて、閉じ込められたまんまだ。
「誰かに見られたらハッキリ言うだけだよ。“今、キスしようとしてたんです”……ってな?」
あ~あ。
やっぱり俺は理解はできても実行は無理みたい。
理想の“オトナのオトコ”ってヤツに憧れはするけれど、実際なるのは難しい。
俺はやっぱり
誰を傷つけても
何を失っても
オマエが欲しい。
あの会議室で再会して
Cobraのソファーで告白して
何年か振りに抱いた伊織の体。
俺…お前を抱いた時、実は手が震えてた。
お前を抱いて失うもののツラさより、お前を手に入れた喜びの方が大きくて…
こんなに幸せな気持ちになったのは、久しぶりで怖かった。
「伊織…
俺が欲しいのは、後にも先にもお前だけだよ。」
「しゅーちゃん……。」
「俺…バカだから。
いろいろ小難しく考えるのは向いてねぇみたい。」
そう言って。
俺はフフッと笑うと、アイツのオデコにチュッとキスをする。
「愛してる、伊織。
愛してるよ…、伊織。」
サラサラのストレートの黒髪。
髪に指を絡めながら俺は伊織の頬を優しく撫でる。
「伊織…」
「……。」
伊織が何か言いたそうに…俺の顔をフッと見上げる。
その瞬間…
絡み合う視線と視線。