君を想うとⅢ~True love~
『い~い?伊織。
別れを自分から切り出すならね。
いい人になろうなんて思っちゃダメよ??』
しゅーちゃんと別れてからしばらくして付き合った、同年代の男の子。
しゅーちゃんを忘れるために付き合ったのに、どうしても心の中のしゅーちゃんを追い出すことができなくて…
私はその彼に自分から別れを切り出した。
でも『別れよう』と言っても『嫌だ!!』の一点張りでガンとして引いてくれなくて…。
理央に“どうしよう”と相談したらこう言われたんだ。
『別れたいクセにいい人ぶるから、相手も割り切れないのよ。
い~い?伊織。別れるなら情は禁物。
あんなヒドイ女、思い出したくもない!!ってくらい酷いフリ方してあげんのが優しさってもんよ??』
そう言って、
理央は私をひどく叱った。
『その人が大事なら。
最後に優しさを見せたいのなら。
相手が未来を見るしか仕方のない状況を作ってやるのがイイオンナ。
自分がきれいでイイコのまんま別れようなんて、ずうずうしいにも程がある!!』
それを聞いて…
私はそのとおりかもしれないと思った。
だって、
恋はきれいなまんま終わることなんて、
決してできないモノだから。
どちらかが傷つかなきゃ、
誰かが血を流さなきゃ、
恋は終わらせることができない。
この別れは私が勝手に望んでいるもので、彼が望んでいるものじゃない。
それなら…、私が100%悪者なんだ。
私がイイコになってしまったら…カレと私は救われない。
そう思った私は、理央の言うとおりに酷い言葉でカレをなじった。
自分でも苦しくなるくらいに
酷い言葉と、酷い態度で、カレと接していたら、
カレはようやく『別れよう』と言ってくれた……。