君を想うとⅢ~True love~



ヨシッと気合いを入れて起き上がって。

重い体を引きずりながらリビングへの扉を開けると、理央はもう仕事に行って部屋にはいなかった。



――はぁ…。




私はため息を吐きながら、ダイニングテーブルの椅子に腰掛ける。




私が悩んだり、困ったりした時にはいつも理央が私を励ましてくれていた。


時には怒ったり、一緒に泣いたりしながら、
私の苦しみと悩みを共有してくれていた。




恋愛経験豊富で数々の修羅場をくぐりぬけてきた理央は私にとってはヒーローで。


理央が男の子だったら絶対に惚れてただろうな~…、
なんて思う位、いつだって潔くて、まっすぐで、男前の理央。





ホントはね?
しゅーちゃんと桐谷慎のコト、いっぱい理央に相談したかった。




どっちを選ぶべきなのか
どうするべきなのか
理央はどう思うのか




このリビングで、いっぱい相談したかった。






しゅーちゃんと再会した日に…
ここでビールを飲みながら話し合った、
あの時みたいに。









でも…、もうそんなことできないよね?







理央がずっと片思いをしていた人がしゅーちゃんだったと知って。
私の無神経な相談が理央を知らず知らずの間に苦しめていたんだと知って。


私は、理央にうかつに相談しちゃいけないんだ、と思うようになった。






誰よりも大切で
家族よりも、カレシよりも、
何よりもかけがえのない、大切な私の親友を…




もうこれ以上、傷つけたくなかったから。




< 314 / 569 >

この作品をシェア

pagetop