君を想うとⅢ~True love~



あ~あ、悔しいな。
どうしてくれよう、このキンニクバカ。



あたしがこんな切ない気持ちでいることなんて、目の前にいる藤堂キンニ君は気づかないんだろうな。





だってその証拠に




「ぷはー!!!ウマイ!!
ありがとな、一ノ瀬!!」




タバコに火を着けた瞬間

私の表情なんて一つも気にせずに…、深く深く煙を吸い込んで満足気にその煙を吐き出すセンパイ。





くそぅ。
あたしの乙女心なんて1ミリもこのオトコには届かない。






「あっそ。
お気に召してもらってよかった。」






は~、このドンカンっ!!

伊織も大概ドンカンだけどセンパイも相当のモンだと思うわよ!!






怒りをこめてハァと盛大にため息を吐くと




「今日はちょっと気ぃ張る事件があったからな…。一ノ瀬の気づかいにちょっとグッときたわ。」





とセンパイが微笑む。







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