君を想うとⅢ~True love~
ゆすぎ終わったマグカップをキュッキュと拭いて、サッと棚に戻す。
ウーンと大きく伸びをして、私は頭の中を戦闘モードに切り替えた。
細身のジーンズにタンクトップ。
いつもよりも念入りにメイクをして、髪をアイロンで丁寧にストレートに伸ばしていく。
クローゼットからお気に入りのボッテガのバッグを取り出して、ジャケットを羽織って、お気に入りのブーツを履く。
女の子って不思議だなぁ、と思う。
だってメイクや服装ひとつで、強くなれたり、可愛くなれたりするんだもん。
自信のあるコーディネートとメイクはオンナの強力な武器。
外見だけでも強いオンナの殻をかぶっていないと、緊張で負けちゃいそうだ。
「よしっ!!高宮伊織、頑張ります!!」
私はクローゼットの奥から小さな包みを取り出して、かばんの中にギュッと詰め込む。
フゥーと大きく深呼吸をすると…、
玄関の扉をパーンと勢いよく開け放った。