君を想うとⅢ~True love~
「事件…?」
「そっ。
今日、話したかった重要事項。」
そう言ってカウンターにヒジを置くと
「俺…、1か月後にサンフランシスコに行く。」
センパイは静かにそう言った。
「…そう……。」
ようやくそれだけを告げて私はジンライムを口にする。
意外なんだけど。
あたしはこの時、センパイの仰天発言をかなり冷静に聞いていた。
頭の片隅で何か予感があったからかもしれない。
祐吾の幸せ
水島亜美の幸せ
伊織の幸せ
それらを強く願うなら…
センパイはいつか遠くへ旅立ってしまうような気がしてた。
だから…
驚かなかった。
いつか来る別れが、今になっただけのことなんだと思うコトができたから。