君を想うとⅢ~True love~
――しゅーちゃん……っ!!!
いつも穏やかで陽だまりのような優しさをくれる彼が、私に刃のような瞳を向ける。
炎のような荒々しさで“私を欲しい”と叫んでくれる。
どんな私でも受け止めてくれると言った
彼のその言葉が嬉しくて、私の心が熱くなる。
この手を取れば…
きっと私は穏やかで幸せな愛に包まれて、生きていけるんだろう。
真綿のような愛でくるまれて、生きていける人生はどんなにか素敵だろう。
この人の大きな愛に包まれていれば…
きっと私は自分の生き方に疑問を持つことも、自分の醜さに向き合うこともなく…
平和で穏やかな、毎日を手に入れることができるんだろう。
頭の中ではわかってる。
この手を取れれば、きっと私は幸せだ。
だけど……
「しゅーちゃん。
それでも私は、しゅーちゃんを選べない。」
そんな幸せに背を向けて、
私は、こんなひどい言葉を口にする。
「なんでだ!!
どうしてなんだよ、伊織!!
納得できる理由を言え!!」
ギリギリと
腕を掴む力がどんどんと強くなる。
しゅーちゃんの指先が私の腕に深く食い込む。