君を想うとⅢ~True love~
ギリギリと
しゅーちゃんが私の腕に、紅い爪あとをつけていく。
腕に食い込んだ指先が赤く、紅く、染まっていく。
このままこの痛みとともにわからなくなればいい…と思った。
チリチリと胸をしめつけるこの痛みは、心が痛いからじゃない。
この腕が痛いからだと、勘違いしていたかった。
「しゅーちゃんがダメなんじゃない。
問題は…、私なの。」
「…!?」
「どんなにしゅーちゃんが私を受け止めてくれても、私がダメなの。
カレじゃなきゃ…、桐谷慎じゃなきゃ私は幸せにはなれないの。
それが理由。」
そうでも思わなきゃ…
頬を伝う、この涙の理由が見当たらない。
「ほんとは…ねっ…?
私をわかろうとしてくれないからとか、
認めてくれないからとか…関係ないのかもしれない…っ。」
「伊織……。」
「ただ…好きなの。
カレが好きなの。
しゅーちゃんよりも、理央よりも、世界中の誰よりも、彼が好きなの!!」