君を想うとⅢ~True love~



そして…しばらくたつと、お父さんと“しんちゃん”は少し離れてボール遊びを始めて。
お母さんは私の近くでソレを微笑ましそうに、いとおしそうに、見つめていた。





なんだか立ちっぱなしのお母さんが気になって



「あ、もしよかったらお隣どうぞ。」



お尻をズリズリと端の方にずらして、席を空けると



「すみません、じゃあお言葉に甘えて。」



お母さんはにっこり笑って、私の隣に腰掛けた。






しんちゃんとお父さんは目がクリクリしてて、くっきりはっきりなキレイな顔立ち。
きっとオトナになったらモテるんだろうな~、なんて思いながら私はカレの顔を眺めていた。





「パパー!いくよー!」

「おう!まかせろ、しんー!!」




仲よさそうに、楽しそうにボール遊びを続ける2人。
そんな2人が微笑ましくて




「パパも息子さんも仲良しなんですね。
羨ましいです。」


と話しかけると


「ふふっ。そう見えます??
家ではケンカばっかりなんですよ??」


お母さんはプッと笑って私に答える。





「そうなんですか??」

「えぇ。ケンカしながら確かめてるんですって。」

「確かめてる…??」

「えぇ。ケンカしてお互いの愛を確かめて、ケンカしてお互いの信頼を結んでるんですって。
おかしいですよね。
男の人には男の人にしかわからない世界があるみたいで。」




そう言って。
お母さんはしんちゃんを見つめながら、にっこりと微笑んだ。


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