君を想うとⅢ~True love~
伊織とは違う
少し線の細い指に
薄い手のひら。
アイツとは違う体温
アイツとは違う、触れ方。
きっと…
いつもの俺なら、そのかすかな違いに嫌悪感を抱いたと思う。
だけど、不思議とイヤじゃなかった。
一ノ瀬の指が俺の髪に触れるたび…
なんだかホッとした。
伊織に触れられると体中が熱を持って
自分でも制御不能なくらいに
心の中がザワつくんだけど…
一ノ瀬に触れられるとホッとする。
肩肘はらなくてもいいんだよ…
って言われてるみたいで
どんな俺でもコイツなら受け入れてくれそうな気がして…
なんだかホッとする。
「いつか……あたしのこと好きになってね、センパイ。」
俺の頭をヨシヨシ撫でながら耳元で囁く、一ノ瀬の願い。
「ばーか。こんな肉食女子は死んでもお断りだ!!」
フンっと悪態をつきながら軽口を叩くと
「スナオじゃないね。」
と一ノ瀬が微笑む。
そして俺の顔を見つめると
「おばぁちゃんになる前には…
好きっていってね。」
そう言って
一ノ瀬は俺のオデコをピンっと軽くはじいた。