君を想うとⅢ~True love~
引きつり笑いを浮かべながら、携帯の電源を切った俺は最高に情けない顔をしていたに違いない。
「悪い、一ノ瀬。」
そう言って無理して笑うと
「バカね。傷ついたならスナオに傷ついたって言えばいいのよ。」
そう言って一ノ瀬が呆れたように笑う。
「伊織にはあたしから文句言ってあげるわ。
センパイ気にしてたわよーって。」
「アホかっ!!そんなことしたら俺がかっこ悪く思われるだろーが!!
オトコは潔さが大事だ!!」
そう言って…
やっとの想いで消した、お前の連絡先と、携帯の電源。
コレで…いいんだと。
コレでお前は幸せになれるんだと俺は思ってた。
ゴメン。
ゴメンな、伊織。
お前と部長を不幸に追いやったのは、間違いなくこの俺だな。
あの日俺がかけた1本の電話。
あの1本の電話が
俺達の運命を大きく変えることになってしまっていただなんて…
どこまでも馬鹿な俺は気づきさえしなかった。