君を想うとⅢ~True love~
「人形相手じゃシンは幸せになんてなれやしない。
アイツみたいな臆病な弱虫男はね?
キミみたいに強くて逞しい女がぴったりなんだよ。」
「幸田先生……。」
「高宮さん、幸せにしてやってよ。
シンのヤツを…さ??」
そう言った幸田先生の顔は本当に優しげで…、深い自愛に満ちていた。
その表情と口調でわかる。
この先生の言葉にウソはない。
きっと…
本当に願ってくれてるんだ。
私と桐谷慎の真っ白なキャンパスに描かれる、幸せな未来を。
「あ、ありがとう…ございマス……。」
さっきまで気のたったネコみたいに噛み付いてたから、振り上げた手を急に下ろすのが少し気恥ずかしくなって。
消えそうなくらいに小さな声でお礼を言うと
「ふふっ。
お礼はシンにまとめてしてもらうから気にしないで。」
少し大人な対応を見せて、幸田先生は柔らかに微笑む。