君を想うとⅢ~True love~



「上手に作れたねぇ、仁。」


「うん!!でもボクだけの力じゃむりだったな。
パパがてつだってくれたおかげだよ。
ありがとう、パパ♪」


「うわっ!
なんかその言い方、部長にそっくりすぎてむかつくわ!!」




日を追うごとに姿形だけじゃなく、口調やしぐさまでもが桐谷慎にそっくりになっていく、仁。



そんな仁を見て“ちっちゃい部長”だなんてしゅーちゃんと理央は軽口を叩くけど、仁がいるから私は何度でも立ち上がれる。




あの時……
あなたを生んで本当によかった…って、お母さんは心の底から思ってるんだよ?仁。






ケラケラと笑うしゅーちゃんに、子どもらしく笑う、仁。





私たちは3人で波打ち際で冷たい水に触れて遊んだり、追いかけっこしたりを繰り返す。




ふと我に返って周りを見回すと、ゴミ袋を持ったたくさんの親子連れがいるのに気がついた。






「ねぇ、しゅーちゃん。」

「ん?なんだ?」

「あの人たち何してるの??」





仁を肩車してくれてるしゅーちゃんにトントンと背中を叩いて訊ねると





「あぁ、ゴミ拾いだよ。
海岸をキレイにしましょうって運動があってさ。
それであの人たちは来てんだと思うよ?」




ニッコリと。
サンフランシスコの柔らかな太陽のようにしゅーちゃんは微笑んだ。



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