君を想うとⅢ~True love~
「へぇ~……。」
感心して相槌を打つと
「じゃぁアレは!?アレはなんなの!?」
肩車してもらいながら、仁が足をバタバタと動かして、指先で遠くの屋台を指差す。
「あぁ!アレは出店だよ。
このイベントはちょっとしたお祭りみたいなモンだからな。
ああやってこの海の近くの店が出店をしてんだよ。」
へぇ……。
ゴミ拾いもこんな風にイベント化したら楽しいよね。
こうやってゴミ拾いをした経験のある子は、自分が大人になってもゴミを捨てたりはしないだろうし、ああいう屋台も出てれば、子どもも喜んで参加してくれそうだもの。
な~んて、思いを馳せていると
「ぱぱ~!!じん、屋台に行きたい!!
屋台に行きたい~~~~!!!!!!!」
そう言って。
しゅーちゃんの肩の上で、仁がダダをこね始めてしまった。
「えぇ~、仁!ココからアソコまでいくのか!?」
「うん。ボク、いってみたい。
だって、しゅーちゃんパパの足ならあっというまでしょ?」
天使の笑顔を振りまきながら
仁はこんな悪魔な一言をシレッと言い切る。
「ダメよ、仁。
ワガママ言わないの。
第一ココから屋台までは少し遠いわ。」
私たちが今いる場所から屋台まではどう考えたって歩いて15分はかかる。
そこまで行くのは大変だし、もうそろそろ教会に戻らなきゃいけない時間帯だし……。
そう思って、メッと仁を叱ると
「ヤダ!!
じんはアソコにいきたいのっ!!!」
ブーっとほっぺを膨らませて、難しい顔をして。
しゅーちゃんの手をすり抜けて、器用にスルスルと背中をつたって砂浜に下りてくると
「つれてってくれないなら、ひとりでいっちゃうモンねー!!!」
こちらを振り返ってアッカンベーをしながら。
仁は全力疾走で、屋台に向かって走り出してしまった。