君を想うとⅢ~True love~
母親と交わした約束。
それは酷く単純で、ありきたりで、しょーもないこと。
『今まで事実婚だった両親の結婚式に出席すること』だ。
以前も言ったかもしれないけれど、俺の父親は政治家。母親は女優。
厳格な父親の家族からは閉め出し続けられていた、俺達母子。
俺が高校の時に、何とかかんとか父親は俺を自分の子どもとして認知してくれたけど……。
籍だけは入れることを許されず、今の今まで2人は事実婚だったんだ。
どんなに反対しても母だけを想い続け、親戚達と戦い続けた、父。
のほほーんとマイペースながらも、一途に父を思い続けた、母。
そんな2人の一粒種の、この俺。
30年近く戦い続けた末、やーっと念願かなって事実上も戸籍上も夫婦になることになった二人。
そんないきさつがあったから…、母親にはきつくきつく念を押されてたんだ。
「い~い、慎ちゃん!!
母さんと父さんの晴れの舞台にアンタがいないなんて絶対にゆるさないんだからね!!」
結婚が決まった日。
母親はキツイ目をしながらこう俺に言い放った。